岸辺 正雀 ショットバーレインフォレスト
100M走

30歳。

成人して10年が経ちます。

中学生から見ればおじさんです。

そんな30歳の体力はどんなものなのでしょうか。

同い年の友達には、

「もうおっさんやから」

と投げ出した感じの人もいます。

でも僕はまだまだと思いたいのです。

運動は月二回のフットサルだけでした。

そんな僕が地区の運動会、

“成人男子100M走”に参加しようと決意したのです。

軽くジョギングするくらいなら問題ない距離です。

しかし全力疾走する100Mはどうでしょう。

トップアスリートならば一度も呼吸しない無酸素運動です。

僕はここ何年も全力疾走をしていません。

走りきれるのかも疑問です。

足が空回りして転ばないとも限りません。

突然の激しい運動は肉離れの原因にもなります。

ただ、そんなことは関係ありません。

100Mくらい全力疾走したい。

出来る体でいたい。

そんな思いから、29歳、

100M走という体で感じる健康診断を受けることにしたのです。


成人男子100M走の召集がかかりました。

集まってくる人達の年齢はさまざまです。

中学生くらいから40代後半の人までいます。

100Mは直線ではなく、運動場を約半周するセパレートコースです。

5コース5人でのレース。

僕が走るのは内から二番目の2コースです。

いよいよスタートラインに立ちました。

「よーい」の一瞬の静寂。

ピストルが鳴りました。

スタートダッシュは、タタタッといきなり飛ばさず、

タンタンタンと軽快に走り出しました。

体は軽くいい調子です。

1コースの選手は着いてきていないことが分かります。

カーブに差し掛かる頃には3コースの選手に追いついていました。

インコースの僕はこの時点でもうかわしていることになります。

カーブに入り更にスピードを上げました。

その向こう4コースの選手も抜きました。

カーブを抜け最後の直線です。

まだ体力は残っています。

しかしゴールはもう目の前でした。

そこで初めて目に入りました。

5コースの選手が僕の斜め前を走っていることを・・・。

僕はあえなく2位でゴール。

10数秒の僕の戦いが終わりました。


2位はさすがに悔しいですが、

まずは100Mを全力で走り切れたことに安心しました。

まだ大丈夫です。

まだまだ走れます。

一緒に走っていた中学生の数人が話していました。

「最近の大人は速いわ。」

ちょっと笑いそうになりました。


来年はもう少しトレーニングして参戦しようかと企んでいます。