岸辺 正雀 ショットバーレインフォレスト
上司の余裕
たまに夫婦で来てださる男性のお客様。

もの静かで、甘いカクテルをよく飲んで下さいます。

僕は勝手に、家では奥さんに尻をしかれていて、

頼りない感じがすると思っていました。

ある日、一人で飲まれているところに、そのお客様の下で働いている

アルバイト君達が4人ほどでやってきました。

男性は僕にこっそりと、

「彼らの一杯ずつ僕につけといて」

と言って、彼らと少しだけ話をしたあと先に帰っていかれました。

その後は、残った4人でその人のいいところ話が始まりました。

「今の職場はあの人のおかげで楽しく働けている。」

「あの人を見習うところはたくさんあるのだ。」などと。

飲みの席で説教をしてもなんの説得力もないですよね。

それよりも、その人がいない時にどれだけいい話題で登場するか。

いないところで褒められる人ほどかっこいい人はいないですよね。

「俺は先帰るけど、ごゆっくりね。」

これが上司の余裕ってもんでしょうか。