岸辺 正雀 ショットバーレインフォレスト
話すも一時の恥

先日来ていただいたご年配のお客様。

すごく腰の低い方で、店の植物やグラスなど、

色んな物を褒めて下さっていました。

そして、

「この氷がいいねぇ」

と何度もおっしゃられ、僕も調子に乗って、

「この透明感と溶けにくさは、氷屋さんが、

38時間ほどかけてゆっくり凍らせてるかららしいですね。」

といつも買っている氷屋さんからの受け売りでウンチクを話していました。

そのお客様はうなずいて静かに聞いて下さっていました。

そして、しばらくはまた他の話をしていたのですが、

少し沈黙のあと、そのお客様が

「実は僕、昔氷屋をしてたんよ。」

とおっしゃいました。

さっき調子に乗って話していたことが一気に恥ずかしく思えました。

思わず

「すみません、えらそうに語ってしまいました。」

と謝りましたね。

そういえば以前も、グラスを褒められ、また

「このグラスは・・・」

なんて話してたら、実は、

百貨店で高級グラスを扱ってる方だったりしたのです。

本当に人は見かけによらないというか、

誰が何をしているかなんて分からないものですよね。

あまり、浅い知識を張り切って披露しないようにしようと、

二度目の失敗でやっと学びました。

『愚者は話し、賢者は聞く』

昔の人はなるほどいいこと言いますね。