岸辺 正雀 ショットバーレインフォレスト
イフ・ユー・キャン
先日「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」という映画を観ました。

デカプリオ扮する“小切手偽造詐欺師”が、

パイロットや医者や弁護士に成りすまして、 FBIからの捜査を逃れる、

という話でした。

最後には捕まるのですが、400万ドルも小切手偽造で稼いだ腕を買われ、

FBIの“偽造小切手捜査課”で働くことになるのです。

それが実話だったというのがまた興味深い話です。

その映画を観ながら以前来られたお客様のことを思い出しました。

まだ僕よりも若い男性のお客様です。

彼は以前までの仕事を辞め、貿易会社に面接に行きました。

そこで、彼は英語は話せないのに、しゃべれると答えたらしいのです。

そして就職が決まりました。

そこからが大変です。

ファックスはほとんど全て英語で送られてくるのです。

単語を一つ一つ辞書で調べての作業です。

まだ入ったばかりなので、仕事が分からないふりをして、

先輩に英語を聞くこともあるらしいのです。

問題はまだ起きました。

先日、その会社の専務と二人で飲みに行くことになったらしいのです。

そこで専務にこう聞かれました。

「君は何語と何語がしゃべれるのかね?」

彼は正直に、

「実は何語もしゃべれないのですよ」と答えました。

その会社の採用基準は、日本語以外の外国語が話せることが第一条件です。

もはやこれまでかと思った時、専務が、

「ま、これも何かの縁かもしれないね。」

と言ってくれたそうです。

英語ができると嘘をついたのはよくないことなのかもしれません。

ただそのお陰で門が開いたのです。

その後は彼の頑張り次第です。

「英語が話せたらなぁ〜」なんて漠然と考えている人より、

今は彼の方がきっと英語の勉強を真剣にしていると思います。

自分で追い込んだのです。

それも一つの勉強方法だと思います。

その会社でどこまでの英語が必要なのかは分かりませんが、

このまま何年も続けることができれば、それはそれですごい事だと思います。

映画の中でも、デカプリオは弁護士になる為の司法試験に受かりました。

それまでは、偽造の証書を作成して医者になったり、

偽の制服を作ってパイロットに成りすましていました。

トムハンクス扮するFBI捜査官は、最後まで、

「司法試験はどんなずるをしたのだ」と聞いています。

答えは簡単でした。

2週間必死で勉強したら受かったのです。

映画の世界ではありません。

ただ賢かったからだと切り捨てるのももったいないです。

そこまで、真剣に嘘を貫き通す根性がすごいと思いました。

詐欺を正当化するつもりはありません。

ただ『なんでも“とことん”やる』ということが、

すばらしい結果をもたらすのだと思います。

若いうちは“やり過ぎ”くらいが、ちょうどいいのかもしれませんね。