旅をして何を得るか。
人それぞれ色々あるのだと思います。
昨年の暮にイタリア旅行をしてきた24歳の男性のお客様がいます。
中学の頃から、いつか絶対に行きたい、と思っていたそうです。
そして、とうとう今回のイタリア旅行を決めました。
「まずはイタリアの街をこの目で見たい」
というのが出発前の彼の目的でした。
日本での悩みは全て忘れ、完全な白紙状態でイタリアを感じようと思ったそうです。
旅の途中、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅の駅前広場で一人の日本人と出会いました。
画家をしている25才の女性でした。
お互い一人だったので、イタリアに来た理由から夢の話まで、
色んな会話を交わしたそうです。
その女性は、以前一度画家になるのを諦めました。
しかし「自分にはこれしかない」と思い直し、また画家の道を歩みだしたそうです。
自信を持って「画家になる」と話す彼女を彼は羨ましいと思いました。
そして自分にとって「これしかない」というものは何だろう、と考えました。
そうやってゆっくり考えられるのも旅の醍醐味だと思います。
明日しなければならない仕事をかかえた状態では、
そんな話を聞いても自問自答することはないのではないでしょうか。
彼はまず初めに、最近まで人にも話していた大きな夢。
それを頭に浮かべた時に気付いたそうです。
「これしかないわけではないな」と。
そして今まで描いてきた夢を一つ一つ思い浮かべ、一つ一つ消していきました。
そして最後に残ったもの。
いくつかやってきた仕事の中で、やっぱり共通していたこと。
それは「料理人」への道でした。
そしてその時初めて「これしかない」と思えたそうです。
今までの夢を諦めたわけではありません。
新しい本当の夢を見つけることができたのです。
更には自分の店が持ちたいと夢が広がっていきました。
旅では色んな収穫があると思います。
語学を勉強したり、ストレスを発散できたり、出会いもあります。
そして今回得た旅の収穫。それは「自分発見」でした。
完全白紙にした彼のキャンバスに最初の絵の具がのりました。
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