岸辺 正雀 ショットバーレインフォレスト
不器用な素質

よく来てくださる女性のお客様がいます。

定番のウォッカトニックを飲みながらこんな話をしてくれました。

美容院で初めて髪を染めてもらっている時です。

器用に少しずつ髪を束ねては染めていく姿をみて、

「やっぱり美容師さんは起用じゃないとできないですね。」

と話かけたそうです。

すると意外な答えが返ってきました。

「はい。でも実はね、不器用な子の方が最終的には伸びるんですよ。」

と。

自分が不器用だと思うと、上手くなる為に一生懸命練習します。

ところが器用になんでもこなしてしまうと、

練習をする必要がなくなってしまうのです。

しかし、いつまでもそう上手くはいきません。

ステップアップしていく段階で壁に当たることもあります。

その時に差が出るらしいのです。

不器用で一生懸命練習していた人は、練習をする習慣がついています。

だから壁にぶつかってもコツコツと練習できるのです。

ところが、それまで器用にこなしてきた人は練習をする習慣がありません。

そこで挫折してしまうのだそうです。

器用の上に練習を重ねられれば、それにこしたことはありません。

それは本当に伸びる人だと思います。

ただ不器用で好きならば、自然と一生懸命練習する機会が増えます。

それも伸びる為に必要なことです。

不器用で好きならばそれは伸びる素質があるのかも知れませんね。


『下手は上手の下地なり。下手よりだんだん上手になるなり。−寒河正親』