イタリア料理店で働いている女性のお客さまがいます。
料理を運び、カクテルなどのドリンクもたまに作るのだそうです。
先日、まだ作ったことのないカクテルを注文されました。
メニュー以外のカクテルを作ることはあまりないのだそうです。
レシピを見ながら恐る恐る作って出しました。
そして、それを飲んだお客様が、
「おいしい!」
と褒めてくれたそうです。
すごく嬉しかった、と僕に話してくれた後、
更にこう付け加えてくれました。
「マスターはいつもこんな感動を味わってるんですね。」
と。
僕はそれを聞いて、はっとしました。
確かにそうです。それが嬉しくてこの仕事をしていました。
でも、最近はその有難さを忘れてしまっていたのです。
当たり前のようになっていたわけではありませんが、
自分がなぜこの仕事を始めたのか、という動機を思い出させてくれました。
その後、楽器屋さんで働く男性のお客様と話す機会がありました。
その方は、仕事の中で嬉しいことをこんな風に話してくれました。
スタジオが隣接しているので、
自分の楽器を持った若い人もたくさん来ます。
そこで、慣れたお客さんには、
「ちょっと弾かせて。」
と言ってギターを借り、弾かせてもらうのだそうです。
そして、もし調子が悪ければその場で直してあげるのだそうです。
「これで弾いてみて。」
と渡してあげた時の、
「うわっ、何で?」
という嬉しそうな笑顔がたまらないと言っていました。
いつも使っていると、
その楽器が弾きにくいのかどうかも分からない人が多いのだそうです。
そして、手直しされた楽器を渡され、違いに驚くらしいのです。
その表情を見るのが、本当に嬉しいと話していました。
どんな職種でも、大きさによらず嬉しい瞬間はあるのだと思います。
実はその瞬間の為に頑張っているのかもしれません。
そんな瞬間、思い出せますか?
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