岸辺 正雀 ショットバーレインフォレスト
立場

仕事がイヤだと言いながらよく働いている友達がいます。

入社当初の話を聞かせてもらうと、見習いたいほどの仕事ぶりです。

ルート営業の仕事なので、

まずはどれだけ早くお客さんと仲良くなれるかが重要です。

彼はまず、「上司に仕事をさせないでおこう」と考えたそうです。

そして、事務所にかかってきた電話は全て取ることに決めました。

彼の面白い表現をかりると、“テレクラ状態”で受話器を取っていたそうです。

更に、送信するFAXには全て自分の携帯番号を書き、

「何かありましたらこちらに御連絡下さい」と手書きで書いておきました。

その甲斐あって売り上げも着実に上げていったそうです。

それから、数年が経ち今度は自分が上司の立場になりました。

役職名は違いますが、実質上の所長です。

それでも臆することなく、

「いままで通り売り上げさえ上げておけばいい」

とたかをくくっていたそうです。

しかし、それだけではいかないことに気が付きました。

以前に上司から言われた言葉が思い浮かんだそうです。

「その人の立場は、なってみないと分からない。」

上司になれば、自分だけでなく、部下にも仕事をさせなければいけません。

あの時、上司はこんなことを感じていたのかと、今やっと思えると話してくれました。

「俺もあの時は上司の考えなんて分からなかった。

だから今の部下にも俺が分からへんのは当然。

あの時の上司もこんな風に思ってたんかなって、今ごろ気付くね。」

ある立場に立った時。

また一つ自分の財産が増える時なのだと思いました。