ある熱帯魚やさんで電気のブレーカーが落ちました。
ブレーカーを上げてもすぐにまた落ちてしまいます。
これはほぼ間違いなく漏電しています。
従業員は焦ってパニック状態です。
そこで店長の登場です。
店長は意外に落ち着いています。
まず、停電になった水槽を見回して、
1.この水槽は空気ポンプだけは動いているのでしばらくは大丈夫。
2.最悪、停電の水槽が全部ダメになっても損害は他でカバーできる。
彼は瞬時にそこまで判断していました。
そして漏電している場所を腕を組みながら考えました。
その時も、もし分からなかった場合、
1.保安局に電話しよう。
2.タウンページですぐに来てくれる電気屋さんを探そう。
3.電気の仕事をしている友人に連絡しよう。
と三つの対応策を頭に置いていました。
そこまで同時に考えていたのです。
彼は電気のコードを目で追い、漏電しているであろうコンセントを探しました。
普段から意識はしていた事態です。
それまでの経験もあります。
一つ一つのコンセントをほぼすべて把握している彼だからこそ、
「そこのコンセント換えてみ。」
と従業員に指示し、みごとに電気を復帰させたのです。
それは、勘ではなく、経験と普段からの意識のたまものなのです。
彼は何事も無かったかのようにまた上の事務所に戻って行きました。
「店長になった時点で色んな事を想定して考えている。
事務所に引っ込んでる時にでも店長としての覚悟は忘れていない。
何かあった時は辞める覚悟もしてるしね。」
「何とかなるやろう」
これが彼の口癖ですが、その裏には何パターンもの解決策があるのです。
そして、“何とかする”という覚悟もあります。
ただの楽観主義者ではないのです。
「あ、でも辞めた後のことは何も考えてないんやけどね(笑)」
彼のそんな笑いのセンスもまたいいなと思うのです。
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