「死ぬときはどんな風に死にたいですか」
と、お客様が質問してくださいました。
その方は、
「たくさんの人に泣いてもらいたい」
とおっしゃいました。
別の方は、
「親友だけに泣いてもらえればいい」
とおっしゃいました。
僕は、できれば誰にも泣いてもらいたくありません。
それよりも、死ぬときに、僕が関わった好きな人の顔がたくさん浮かべばいいな、と思います。
それはもちろん女性だけではなく、友達やお客様も含めてです。
たくさんの人に好かれるよりも、
たくさん好きな人がいる方が幸せです。
僕は人の好き嫌いが激しいので、
好きになる人が見つかればそれだけで嬉しいのです。
僕が好きな人は相手も好きだろうと思います。
自意識過剰ではありません。
別に本当に好かれなくてもいいのです。
僕が好きな時点で成立してしまっています。
だから、嫌いな人にまで好きになってもらおうとは到底思えません。
ありえないのです。
改装している時、嬉しいなと思ったことがあります。
店を解体して一瞬店がなくなった時に、10年前と違ったのは、
来てくださるお客様の顔が浮かんだことです。
この記憶が僕の財産です。
この記憶に勇気づけられるのです。
僕は祝福してもらうよりも、祝福してあげる方が好きです。
その理由が分かったような気がします。
喜んでもらえるから云々ではなく、
僕が祝福したいと思える人がいる、ということが嬉しいのです。
独りよがりな考え方かもしれません。
嫁がいなければサミシイ奴かもしれません。
ただ、僕の幸せの理由がまた一つ見えたような気がします。
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