フルーツを使ったカクテルを考えるときは、まず、食べます。
それだけで食べても美味しいのに、さらにお酒を加えるわけです。
ただお酒を加えるだけでは美味しくならないし、むしろ邪魔をしているようにもなります。
今回はフルーツトマトを何個も食べました。
これだけで美味しい。
カクテルにすることによって、これ以上のものを作る必要があります。
そうでないとトマトに失礼です。
フルーツトマトは潰してお酒を加えるだけだと青臭さが前に出ます。
あの甘さが引き立たないのです。
華やかなジンを使うことにしました。
ただ、ジンが多いとジンの味が勝ってしまいました。
ジンの量を少し減らしてウォッカを加えました。
まだボヤっとしています。
インパクトのある隠し味が欲しい。
薬草系のペルノを思いつきました。
ちょっとでも入れ過ぎると味を全部持っていかれます。
この1ティースプーンの量だけで3回ほど作り直しました。
買ってきていたフルーツトマトがどんどん減っていきます。
味が決まってきました。
もう少しトマトを活かすには。
塩?
いや、塩では思っているような方向ではありません。
ただ、グラスのふちには付けて作ってみました。
辛過ぎます。
フレッシュで繊細なカクテルにしたかったので、塩はやめました。
黒こしょう。
ほんのちょっとのピリッと感が思っていた通りでした。
ただ、これも入れ過ぎると辛くなる。
トマトを2個ほど無駄にしました。
まだ完成しません。
日にちは過ぎていきます。
青臭さを抑えるためにずっとレモンジュースを加えていました。
このレモンのスッパさがどうも気に入りません。
フルーツ感を出して青臭さを抑える。
他に何かないか。
最後にグレープフルーツを思いついたとき、
このカクテルは完成しました。
「フレッシュ・メアリー」・・・1,200円
同じく、フルーツトマトを使ったカクテル、ビールと混ぜるレッドアイ。
ただ二つを合わせるだけなのに、何回も試作を作りました。
とうとう買ってきていた20個のフルーツトマトがなくなりました。
入れる順番、入れ方で、泡の立ち方、混ざり方が全然違います。
なかなか上手くいきませんでした。
3日間の温泉でもずっと考えていました。
二日目の夜中に目が覚めて思いついたときは、早く温泉から帰りたくなったくらいです。
温泉から帰った日の夜に、店に入って完成させました。
これを飲んでくださったお客様が、
「これは家では作れないね」
とおっしゃいました。
「パーフェクト・レッドアイ」・・・1,000円
ビール好きな妻が、少しだけ涙目になりました。
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