例えば、本人の見えないところが蚊にくわれていたとします。かゆそうです。
これを教えてあげるのは優しさか、という話です。
蚊にくわれていても、気づかなければかゆくないことはよくあります。
特に背中は気づきません。
それを、わざわざ教えてもらうから、かゆくなるのです。
教えないのが優しさだと思うのです。
それを教えてしまう、勘違いな優しさをしてしまうのです。
辛そうな人に、
「辛そうですね」
と声をかけるのが、いい時と悪い時があります。
本人が辛いことに気づいていない場合は、背中の虫刺されと同じです。
それは気づかいでもなんでもなくなるのです。
電車で席を譲る人は確かに優しいです。
では、席が空いているのに座らずに立っている人の優しさには気づいてあげられるのでしょうか。
これ見よがしな優しさではなく、極めて控えめな優しさがあります。
自分が立っていればその分誰かが座ることができる。
その、優しさも、やっぱり優しさだと思うのです。
女性のお客様が一人で来られました。
僕に何か相談したそうです。
先にいらっしゃった男性のお客様が少し様子をうかがってから、
チェックをされました。
いつもならもう少し飲まれていてもおかしくありません。
でも、気を遣われたのだと思います。
この優しさに気づけるかどうかです。
小さな小さな優しさがあります。
誰にも気づかれない優しさがあります。
本当に優しい人は、
「優しいですね」
なんて言われない人かもしれませんね。
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