夜な夜な「氷のグラス」を作成し、洗って一晩寝かせます。
次の日、水滴が固まった「氷のグラス」の余分な氷を削ります。
ここで、パキッとグラスにヒビを入れてしまって使えなくなるときもあります。
最後まで慎重です。
そして、これでお客様にお出しできる状態になるのです
しかし、「氷のグラス」はこれで完成ではないことに気づきました。
お客様が飲んでいるうちに、どんどん形を変えていきます。
そして、飲み終わるころには、個性のある「氷のグラス」に完成しているのです。
グラスにウィスキーを入れると、水面に当たる氷から解けていきます。
次に注ぐ時に、さっきの水面よりも下のラインまで入れると、
グラスの壁が薄くならずに飲めるのです。
だから初めは、円すいの形にしています。
これが、長持ちする工夫でした。
今日のお客様は、このグラスを見事に扱ってくださいました。
中がフワッと膨らんだ、綺麗な天使の輪のついたグラスが完成したのです。
飲まれた杯数はなんと、7杯。
お酒が強くないとできない芸当です。
「このグラス、キープできる?」
の冗談に、思わず笑ってしまいました。
そして、
「一個のグラスで楽しませてもらったわ」
と、なんともなかったかのように帰られていきました。
楽しんでいただけたのなら嬉しい限りです。
一晩でなくなっちゃう、ひと夏の恋グラス。
夏はまだ終わらない。
お客様作成、中が広がって完成に近づいた氷のグラス
天使の輪。
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