優しさとは。
2014年05月19日(月)
女性は優しい男性が好きです。

男性もまたしかりです。

人はみんな優しい人が好きです。

では、この優しさとは何か。

それがよく分からなくて動けません。

優しさとは、共感です。

共感のない優しさは、優しさを感じられません。

計算された優しさは、やらしさになります。

失恋した辛さを知らない、もしくは忘れてしまっている人は、

失恋した人に、

「いい人なんて他にいくらでもいるよ」

と言ってしまいます。

これは優しさのつもりで言っています。

ここに共感がないのです。

だから相手には響きません。

「今この人はどんな辛さを味わっているのか」

その辛さを共感できたときに初めて、

相手にとって優しい行動がとれるのです。

突然の雨で傘を持っていない。

しかも、自分だけびしょ濡れになっている。

僕はそんな状況におちいったことがあります。

長い列で空港へ行くバスを待っているときでした。

そんな時に、ふと傘をかざしてくれたおじさんがいました。

「濡れるやろ」

と。

この時の嬉しさと安堵感を覚えています。

濡れるのも辛いですが、傘を持っていないことが恥ずかしかったのです。

空港に向かう電車が止まり、バスに乗り換えなければいけませんでした。

空港までは濡れないので傘はいらないとたかをくくっていたのでした。

周りはみんな傘をさしています。

その状況を救ってくれたことが嬉しかったのです。

この嬉しさを知っているので、雨の日に傘をささずに歩いている人に傘をあげることができます。

ビニール傘なら、無理やりにでもあげてしまって大丈夫なのです。

数年前に友達のお父さんのお葬式に妻と行きました。

帰り際に、その友達のお母さんに挨拶をしました。

妻は、

「お疲れが出ませんように」

と言いました。

この言葉は僕には出ませんでした。

妻はその数年前にお父さんを亡くしています。

大切な人を亡くしたときの状況を妻はよく知っています。

だから、表面的な、

「ご愁傷様です」

という言葉の変わりに、そう言えたのだと思います。

僕にはまだ分からない境遇です。

また別の話ですが、タバコが嫌いな彼女の前でタバコを吸わない。

これは優しさではなくてマナーです。

あるとき、タバコを吸う友達と彼女と三人で飲みに行きました。

僕の話ではありません。

お客様の話です。

このときに、その友達に、

「遠慮せずに吸ってや」

と言えるのが優しさです。

ここに共感があるのです。

彼女のことを思って、友達にも吸わさないと、どこにも共感がありません。

彼女のことを思ってタバコを避けたいなら、友達は誘わないのが優しさです。

でも、みんなで飲みたい、ということになったなら、

優しさは共感できるところで発揮できるのです。

いろんな経験をつんだ人が優しいのは、共感できることが多いからだと思います。

「こんなことをすれば喜ぶだろう」

というのは優しさではありません。

「こんなことされたら嬉しいな」

ということを相手の立場に立ってするのが優しさです。

父が電車で席をゆずられたそうです。

歩いて日本一周をするくらい元気な父です。

そんな自分がお年寄りに見られた。

それが少しショックだったそうです。

もちろん、ありがたくゆずってもらったそうです。

誰にでも席をゆずるのが優しさではありません。

ゆずって欲しい人にゆずるのが優しさです。

背筋を伸ばして元気そうに立っているお年寄りには、席をゆずらないのも優しさです。

だから、優しさは難しいのです。

その状況にならないと分からないことばかりです。

逆に言うと、分かるから共感できるのです。

優しさは、共感なのです。

2014-05-19 | 記事へ |