マッチよりも美味しく点火できるというシダ片で葉巻をあぶっていると、
しばらくして白い煙がフワッと立ち上がります。
「きた」
と、心躍る瞬間です。
ここから葉巻の先全体に火が回るまであぶっていくのです。
シダ片の傾きを調節しながら火の勢いを上手く手なずけると、
それが葉巻タイムの最初の楽しみになります。
昨日葉巻をしようと思ったのは、新しいブランデーを仕入れたからでした。
『レミーマルタンXOエクセレンス』
レミーマルタンの高級品です。
ブランデー好きな紳士のお客様に、
「レミーマルタンのもうひとつ上のはありませんか?」
と、聞かれました。
レミーマルタンV.S.O.P.しか置いていませんでした。
二回目に聞かれたときに、僕自身が飲んでみたくなりました。
セレブな形のボトルに入っているのは知っていました。
「あのボトルを眺めながら、高級ブランデーと葉巻・・・」
妄想がピークに達しました。
数日後、勢いで仕入れたボトルが届きました。
ここは、キューバ産の葉巻でしょ。
目の前に用意した、キューバ産の葉巻に高級ブランデー。
「なにもんやねん!?」
と自分にツッコミながら、葉巻の時間を味わいました。
マスターも誰もいないカウンターに一人座っての葉巻タイム。
「僕の叶わない夢って、ここに飲みに来ることなんよな」
なんて、もの思いにふけった二時間でした。
レミーマルタンXO・・・1shot1,500円
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