シングルモルトの楽しみ方の一つに、
『匂いを探す』
というのがあります。
アーモンドやチョコレート、りんごや花の匂い、
はたまた、セメンダインや濡れたアスファルト、
なんて匂いもあります。
僕は、リヴェット12年に消しゴムを見つけました。
ずっと以前に妻とそんな風にモルトを楽しんだことがあります。
その時に妻は、
「あぁ、これあれや。港で石原裕次郎が足を乗せているやつや」
と言いました。
(どのモルトかは忘れました)
船をロープで縛り付けるためのあれですね。
うん、確かに。ってか石原裕次郎って...。
昨日、トバモリー10年を飲まれたお客様が面白い表現をされました。
「これは、濡れたダンボールの匂いがするんよな」
ここまでは、聞いたことのある表現です。
その後が、ワインを飲むお洒落なレストランではない表現です。
「子供のころこっそり見た、
公園に落ちている濡れたエロ本を思い出すんよw」
そのふやけてパリパリになろうとしているエロ本は、
ギリギリ僕の世代では分かります。
表現が面白かったので、半信半疑でボトルの匂いをかいでみました。
その瞬間、フラッシュバックがおこりました。
少年の僕、近所の幼馴染の友達、公園、草むら、濡れたエロ本・・・。
濡れたインクの匂いがしました。
土のついた濡れた紙の匂いがしました。
足で蹴ってページを開こうとしている僕が見えました。
なんとノスタルジーなモルトなんでしょう。
全然出ないモルトなので、メニューから外したばかりでした。
しかも、以前のラベルなのでもう手に入りません。
今の今まで気にもしていなかったトバモリー10年。
この瞬間に一気にファンになってしまいました。
おそらく後3杯ほどです。
このノスタルジーが分かる、
30代以上の人だけに飲んで欲しい一本です。
『トバモリー10年 1ノスタルジーショット900円』
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